白砂 鏑木蓮 (本)
「白砂」
なんて綺麗なタイトルだろうと思いました。表紙も夜の水辺に白い鹿が描かれているもので、無垢さや瑞々しさが伝わってきます。
これは作中にある、少女の母親がある夏の日に奇跡的に見た光景であり、もしかしたら少女が胸を焦がし思い描いた景色なのかもしれません。
そもそも白砂とは、骨です。人骨です。
(白砂が付く山や川があるようですが、作中とかかわりのない場所にあるので関係ないと思われます)
骨によって殺人が起こり、骨により犯人が割り出されていくという・・・骨がキーワードとなっているミステリーです。その中には被害者、犯人の二人の生き様や思いが詰められており、ミステリー特有の緊迫感はないものの、少し胸が締め付けられるような物語でした。
なんとも悲しい話ではありましたが、残念ながら宣伝文句にある「涙腺崩壊必至の感動作」にように、私の涙腺はぴくりともしませんでした。
ただ少女がもし殺されず、今も生きていたならどんな世界があったのだろうと、考えてします今日この頃です。